高齢者の方や障がいをお持ちの方が、単独で公共交通機関を利用することができずどこにも行けないと言ったお悩みなどから、買い物代行や介護タクシー等の輸送サービスを事業として行うことができないだろうか。
そのようなことを考えられている方に、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
買い物代行や宅配がしたい
昨今、副業で始めたいと考えている方も増えているのではないでしょうか。
「買い物に行けないし、ネットスーパーも使い方が良く分からない。」という高齢者の方が周りにいらっしゃれば、本業で始めるということもあるかもしれません。
基本的に、「販売されている日用品」を「買ってくる」という行為であると思いますので、このような場合は特段許可なく始められます。
自身が仕入れをして転売するとなると許可が必要なものもありますので、ご注意ください。
ただし、他人の需要に応じ、有償で荷物を運ぶという観点から「貨物軽自動車運送事業」の届出を行うのが良いでしょう。
例えば、トラックで荷物を運ぶ事業者は「一般貨物自動車運送事業」という”許可”が必要ですが、個人や小規模で上記事業を始めるということであれば、軽貨物で十分かと思います。
貨物軽自動車運送事業における規制緩和が令和4年10月にされました。
これまで、車検証に「貨物」と記載のある(最大積載量の記載のある)車両のみ認められていましたが、この規制緩和で「軽乗用車」でも運送事業を行うことができるようになりました。
より始めやすくなりましたね。ただし、届出はきちんと行いましょう。
介護タクシーを始めたい
単独で公共交通機関を利用することが困難な、高齢者の方や障がいのある方、病気やケガをされている方などの移動手段となるサービスです。
介護タクシーを始めるには、「一般乗用旅客自動車運送事業の許可(福祉限定許可)」が必要です。
法人でも個人でも許可申請を行うことができますが、それなりに資金・時間・労力はかかります。
介護タクシーというと、「介護保険タクシー」と混同してしまいますが、呼び名が決まっているわけではないので、勘違いされることもあると思います。
この記事では、以下のように区別します。
介護タクシー…介護保険は適用されないが、「要介護」「要支援」「身体障がい者」その他、病気やケガをされている方など、単独での移動が困難な様々な方が利用できる。
介護保険タクシー…法人や市町村で運営している福祉有償運送サービスで、介護の資格を所持している運転手が乗車介助を行うもの。「要介護者」「身体障がい者」が保険を使って乗車することができる。
もし、介護保険が適用されるタクシー事業を始めたいと思われたら、法人にして訪問介護の指定を受ける必要があります。
介護の資格を取り、知識をしっかり習得した上で、指定を受けるための要件を揃えていき、また介護タクシーの許可申請も進めていくということになります。